8月26日(土) 周囲に気を配る

周囲に気を配る

会社員のSさんが取引先で打ち合わせを終えた帰り、路線バスを降車する際、交通系ICカードの残高が不足していることに気が付きました。

あわてて運転手に申し出てICカードにチャージをしていると、後方の乗客の1人から「早くしてよ」との声が聞こえてきたのです。

〈待たせてしまった自分が悪いけれど、あそこまで露骨に言わなくてもいいのに〉と、Sさんは釈然としない気持ちで自社に戻りました。

そのことを職場の先輩に話すと「そりゃあ、きついことを言われたね。これからは気をつけるといいよ」と笑いながらSさんを励ましてくれました。

半ば冗談のような言葉でしたが、Sさんはいち早く自分が降車することばかり考え、後に降りる乗客のことを全く考えていなかったと反省したのです。

仕事ができる人は、周囲がよく見えているものです。職場においても、体調の悪い人や業務が過多となっている人など、サポートを必要としている人がいないか気を配りましょう。

今日の心がけ◆周囲の状況を確認しましょう

(出典:職場の教養 2023年8月号)



◼️会社を辞めない起業家に向けて

Sさんのエピソードを読んで、私は数々のビジネスの経験と比較しながらいくつかの考察を得ました。まず、Sさんが交通系ICカードの残高が不足していることに気が付き、後方の乗客に不快を与えてしまった件について、この一件は「全ては準備で決まる」という格言にも通じる問題です。事前にしっかりと準備をしていれば、そのような場面に陥ることは少なくなります。準備とは、金銭的な問題だけでなく、心の準備、時間管理、人間関係においても非常に重要です。

次に、「経営者は、自分に起こったよくない事象を他責にしてはいけない」という点です。Sさんも自分が後続の乗客に不便をかけたことを反省していました。これは経営者としても非常に重要な姿勢です。問題が起きた場合、他の要因や他人のせいにするのではなく、まずは自分自身に問題がなかったかどうかを反省する必要があります。

そして、「目指すは、第五水準のリーダー」です。第五水準のリーダーという概念は、成功したときにはその要因を外部に求め、失敗したときには自分自身に原因があると考えるというものです。Sさんも、後続の乗客に対して不便をかけてしまったと自覚し、その責任を自分に求めました。これは、第五水準のリーダーとしての素質を垣間見せる瞬間でした。

最後に、会社を辞めずに起業を考えているビジネスパーソンの皆さんに言いたいのは、会社員であれども、起業家であれども、絶えず「周囲に気を配る」この素養がビジネスにおいては不可欠です。Sさんのエピソードが示すように、周囲に気を配る力は、経営者としても人としても極めて重要です。だからこそ、このエピソードから学び、自己成長を続けましょう。行動は今すぐにでも始められます。あなたが今日取る一歩が、明日の成功への大きな一歩となるでしょう。


◼️今日のおすすめの一冊

『ビジョナリー・カンパニー2』

先ほどの感想文で触れた「第五水準のリーダー」の概念は、ジム・コリンズが名著「ビジョナリー・カンパニー2」で詳細に解説しています。この本はビジネスパーソン、特に企業のリーダーシップを志す方々にとって、非常に参考になる一冊です。

「ビジョナリー・カンパニー2」は、平凡な会社がいかにして素晴らしい会社に変貌するのか、その過程と要素を多角的に分析しています。その核心にあるのが「第五水準のリーダー」というリーダーシップのあり方です。このリーダーシップスタイルは、成功時にはその要因を外部に求め、失敗時には自己反省を行う、という姿勢を基本としています。

先のエピソードで示したように、周囲に気を配る能力もまた、第五水準のリーダーシップに通じる要素です。何かがうまくいったときに、その功績をチームや外部の要素に帰することで、より多くの人々が成功に参加する喜びを感じ、団結します。逆に、何かがうまくいかなかったときには、自分自身に責任があると考え、その責任を全うすることで、信頼とリーダーシップを築き上げます。

「ビジョナリー・カンパニー2」は、単なる成功哲学ではありません。実際の企業のケーススタディに基づいた、実証的な手法と戦略が満載です。経営者に限らず、会社を辞めずに起業を考えているビジネスパーソンにとっても、ここから学べることは多いでしょう。

全ては準備で決まる、という言葉がありますが、その準備の一環として、この本を手にとってみることを強くお勧めします。知識は行動の前に来るものです。今すぐにでもこの本を読み、次なるステップへと進みましょう。

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