8月25日(金) ひぐらしの声

ひぐらしの声

8月も終わりに近づいてくると、夏の終わりを告げるかのように、ひぐらしが鳴き始めます。

まだ暑さの厳しい日が続きますが、鳴き声を聞くだけで季節の移ろいを感じさせてくれます。「カナカナカナ」という鳴き方が特徴的で、9月頃まで朝や夕方にその声を聞くことができます。

現存する日本最古の歌集『万葉集』の中には、蝉の和歌が10首ありますが、その内の9首は「ひぐらし」が詠まれています。

隠(こも)りのみ 居ればいぶせみ 慰むと 出で立ち聞けば 来鳴(きな)く晩蜩(ひぐらし)

作者は36歌仙の1人である大伴家持(おおとものやかもち)です。「家に引きこもってばかりいて気が滅入るので、気晴らしに外に出て耳を澄ますと、もうひぐらしが来て鳴いている」という意味です。家持は鳴き声に癒されていたのかもしれません。

毎年聞こえてくるひぐらしの声ですが、短い期間で懸命に鳴くその声に、耳を傾けてみてはいかがでしょう。

今日の心がけ◆自然の声の耳を傾けましょう
(出典:職場の教養 2023年8月号)



◼️会社を辞めない起業家に向けて

『ひぐらしの声』のエピソードには、私たち起業家、特に会社を辞めずに何か新しいことを始めようと考えているビジネスパーソンにとって、多くの示唆が含まれていると感じます。

まず、ひぐらしの鳴き声が夏の終わりを告げるように、自然界は常に変化と成長のサイクルを示しています。今、多くのビジネス界では「ウェルビーイングに生きる時代」が到来しています。健康や精神的な安定、人々の繁栄を第一に考え、それをビジネスの中心に据える企業が評価される時代です。ひぐらしの鳴き声は、私たちに自然界の持続可能なバランスと調和を思い起こさせ、それが最も豊かなウェルビーイングを生むと教えてくれます。

次に、成果と成長は確かに重要ですが、そのプロセスをどれだけ楽しむかが非常に大事であるという点です。ひぐらしは短い期間で懸命に鳴きますが、その懸命な努力がひとつの「楽しみ」とも言えるでしょう。会社に所属しながらの起業は、間違いなく多くのプレッシャーと忙しさが伴います。しかし、その中で小さな成功を積み重ね、プロセス自体に喜びを感じることが、継続的な成長とウェルビーイングにつながります。

最後に、大伴家持の和歌が教えてくれるように、時には外の世界に耳を傾けることで新しい視点や癒しを得られます。会社勤めを続けながら起業を考えると、多忙な日々に追われがちです。しかし、ひぐらしの声に耳を傾けるように、周囲の自然や人々から学び、心の充実を感じる瞬間を持つことが、より良いビジネス、より良い生活を築く秘訣かもしれません。

さあ、あなたも一歩を踏み出してみませんか。ひぐらしのように、短い期間でも懸命に「鳴き声」を上げてみてはどうでしょう。その声が次第に大きな波紋を呼び、新しい価値やビジネスチャンスを生むかもしれません。大切なのは始める勇気と、そのプロセスを心から楽しむこと。その一歩が、あなた自身のウェルビーイングと、周囲へのポジティブな影響を生む最初の一音となるでしょう。



◼️今日のおすすめの一冊

今日皆さんにおすすめしたい一冊は、アダム・グラント著の『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』(原題:『Give and Take: Why Helping Others Drives Our Success』)です。

この本は、成功において重要な要素は何かと考えたときに、単にスキルや才能、努力だけではなく「人とどのように関わるか」という点に焦点を当てています。ビジネスの世界で成功するには、他者とどのように協力し、価値を提供できるかが非常に重要です。

アダム・グラントは、人々が「与える人(Giver)」、「取る人(Taker)」、そして「交換する人(Matcher)」の三つのタイプに大別できると述べ、特に「与える人」が持続的な成功とウェルビーイングに繋がる可能性が高いと論じています。これは前述した「ウェルビーイングに生きる時代」や「プロセスを楽しむ大切さ」にも通じる哲学です。

この本を読むことで、自分自身のビジネススタイルや人間関係について深く考えるきっかけになるでしょう。そして、他者と協力しながら成長するプロセスを、より一層楽しむことができるようになるかもしれません。

特に会社を辞めずに起業を考えている方にとって、この本は「与える」ことの力と、その行為がいかに自分自身やビジネスに良い影響をもたらすのかを理解する貴重なガイドになるでしょう。読むことで、あなた自身のビジネスや人生において「与える」ことの価値と喜びを再認識するきっかけをつかむことができるでしょう。

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