9月6日(水) 海を渡った葛

『海を渡った葛』

秋の訪れを感じる頃となりました。秋の七草の1つに数えられる葛は、この時期に紫色の花を咲かせます。

日本では古くから親しまれ、葛粉を利用した葛切りや葛餅、根を乾燥させた生薬の葛根湯は馴染み深いものです。

葛は繁殖力が強く、蔓(つる)を伸ばし、他の樹木に絡みつき、旺盛に繁茂(はんも)します。そのため、植林した木の幹を締め付けて林業被害を引き起こすこともあります。

近年、この日本原産の葛がアメリカに渡り、日本とは比べ物にならないほどの猛威を振るっています。家畜の飼料や土壌流出防止を目的に植えたものが爆発的に広がり、地域の生態系や産業に多大な被害を与えました。

そのため、国際自然保護連合から「世界の侵略的外来種ワースト100」に認定されてしまいました。日本とは違い、葛を食べる昆虫がいない、競争関係にある種がいない、冬季の寒さで成長が抑制されない、などの理由が考えられています。

自然界は、様々な種が絶妙なバランスを保って成り立っているのでしょう。

今日の心がけ◆自然の摂理に学びましょう  
                   (出典:職場の教養 2023年8月号)


◼️会社を辞めない起業家に向けて

『海を渡った葛』のエピソードは非常に興味深く、多くの啓示をビジネスパーソン、特に起業を考えている方々にも提供しています。

まず、葛の繁殖力と適応力は素晴らしいものがありますが、その力が時として破壊的に働くことも示しています。これはビジネスでも同じで、会社を辞めずにサイドビジネスや起業を考えている場合、その活動が本業に悪影響を与えないように気をつける必要があります。

葛が日本では有用な植物である一方で、アメリカでは侵略的外来種とされているように、ビジネスでもマーケットや環境によっては異なる反応や評価があり得ます。例えば、あるビジネスモデルが日本で成功しているからと言って、それが海外でも同じように成功するとは限りません。起業する前に、しっかりとリサーチとマーケット分析をする重要性がここにも示されています。

さらに、自然界が様々な種で成り立っているように、ビジネスエコシステムもまた多様なステークホルダーに支えられています。サイドビジネスや起業で成功するには、そのエコシステムに適切に適合し、貢献することが必要です。

最後に、『海を渡った葛』がアメリカで問題を引き起こしたように、ビジネスでも急成長がリスクを伴うことがあります。特に会社を辞めずに起業を考えている場合、そのバランスを取るスキルが求められます。

全体として、葛の物語は会社を辞めずに起業を考えている方に、多くの教訓とヒントを与えてくれます。どのような環境にも適応できる力、バランス感覚、そしてリスクをしっかり評価する目—これらはどんなビジネスパーソンにとっても必要不可欠なスキルです。

だからこそ、今がその第一歩を踏み出す最適な瞬間かもしれません。適応と成長の可能性を秘めた”葛”のように、あなた自身が持つ無限の可能性に気づき、行動に移してみてください。必ずや新しい世界が開かれるでしょう。

◼️今日のおすすめの一冊

今日おすすめしたい一冊は、『リーン・スタートアップ』(原題:”The Lean Startup”)です。この本はエリック・リースによって書かれ、新しい事業やスタートアップが、少ないリソースと時間で最大のインパクトを出せるように設計された方法論を提供しています。

『リーン・スタートアップ』は、失敗を最小限に抑えながら効率的にビジネスを進めるための「リーン思考」を基盤にしています。ビジネスモデルの仮説を立て、その仮説を小さな規模で実験し、結果に基づいて次のアクションを決定するといったプロセスを詳細に説明しています。

この方法論はサイドビジネスや部分的な起業にも非常に適用しやすく、リスクを分散しながら事業を展開するための貴重な知見を提供してくれます。特に、会社を辞めずに何か新しいことを始めようと考えている方には、少ないリソースで効果的な結果を出すためのスキルとマインドセットが身につくでしょう。

『海を渡った葛』のエピソードで考察したような適応力、バランス感覚、リスク評価のスキルを養うためにも、この本は非常に役立つと思います。

読んだ後は、あなたもきっと「葛のような」適応力と成長力を身につけ、未知のフィールドでしっかりと根を張ることができるでしょう。新しい挑戦を怖れず、一歩一歩前に進む勇気を持ってください。あなたのビジネスが成功へと導く「リーン」なステップが、この一冊から始まるかもしれません。

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