9月5日(火) 多方向から見る

多方向から見る

円柱は見る方向によって、丸に見えたり、四角に見えたりします。一方向から見た姿では円柱だとわからないこともあります。

これは人も同じことで、一方向からその人を見ただけでは、その人の思いや「人となり」はわからないでしょう。

Kさんは、いつも口うるさく注意してくる先輩に対して苦手意識があり、いつの間にか先輩を避けるようになっていました。

その態度を見かねた上司から、「Kくん、君が苦手としている先輩は、君のことを高く評価しているからこそ、言ってくれているのだよ。素直に先輩の言うことに耳を傾けてみなさい」と諭されました。

上司の言葉から、先輩の思いを知ったKさんは、今までの態度を詫び、先輩から積極的に仕事を教わるようになり、自己の成長につながりました。

自分が見ている姿がその人のすべてではありません。だからこそ、様々な角度から相手を見つめ、相手を見つめ、知る努力をして良好な関係を築いていきましょう。

今日の心がけ◆様々な角度から相手を見ましょう
                   (出典:職場の教養 2023年8月号)


◼️会社を辞めない起業家に向けて

会社を辞めずに起業を考えるビジネスパーソンに向けて、『多方向から見る』というエピソードは大変示唆に富んでいると思います。

まず、鳥の目、魚の目、虫の目、コウモリの目という四つの視点について触れたいと思います。これらは各々異なるフレームで物事を観察する方法を示しています。鳥の目は全体像を俯瞰してみる視点、魚の目は時間軸で捉える視点、虫の目は細かくフォーカスする視点、そしてコウモリの目は逆さや他の多角的な観点から見る視点です。これらの視点はビジネスにおいても極めて有用です。

特に、サラリーマンとして忙しい日々を過ごしていると、虫の目になりがちです。デスクワークやプロジェクトでのタスクに追われるうちに視野が狭くなってしまいがちです。だからこそ、自分のビジネスやアイデアに対しても鳥の目や魚の目で見ることの重要性が高まります。特に、会社を辞めずに起業するという道を選ぶ場合、既存の仕事と新しいビジネスを両立させるためには、意識的な視点の切り替えが必要です。

このエピソードでKさんが経験したように、異なる視点から人や事象を見ることで、未知の価値や可能性、そして成長への道が開かれるのです。Kさんが上司の言葉をきっかけに先輩の意図を理解し、成長につなげたように、我々も多角的な視点でビジネスや人間関係を考えるべきです。

最後に、会社を辞めずに起業を考えている皆さんに向けて、物事を多方向から見る力は、ビジネスの成功に絶対に欠かせない要素です。忙しい日常に追われて視野が狭くなっても、自分自身に時折「今、何の目で見ているのか?」と問いかけ、視点を切り替えることで未来に開かれる道は無限です。先を急ぐ前に立ち止まって、多角的に物事を見る習慣をつけましょう。それが新しいビジネス、そして新しい自分自身を創り出す第一歩となるでしょう。

◼️今日のおすすめの一冊

ビジネスパーソンの方々に特におすすめしたい一冊は「ビジネスモデルジェネレーション(Business Model Generation)」です。この本はアレックス・オスターワルダーとイヴ・ピニュールによって書かれ、ビジネスモデルの設計とイノベーションについて総合的に解説されています。

なぜこの本をおすすめするかというと、先ほどの「多方向から見る」という視点が非常に活かされるからです。ビジネスモデルジェネレーションでは、ビジネスを構成する要素(価値提案、顧客層、収益構造など)を一つ一つ分解し、それぞれに対して鳥の目での俯瞰、魚の目での時間軸、虫の目での細部へのフォーカス、コウモリの目での多角的な観察といった、多角的な視点で考察を行うことができます。

特に、会社を辞めずに起業を考えている方にとって、この本は新しいビジネスモデルを考える上での枠組みを提供してくれます。時間が限られる中で既存の仕事と起業活動を両立させるためには、効率的かつ効果的にビジネスモデルを設計、テスト、実行するスキルが求められます。この本がその役割を果たしてくれるでしょう。

そして最も重要なのは、多角的に物事を考える訓練が、この本を通じても自然と身につくことです。忙しい日常で視野が狭くなりがちなビジネスパーソンも、この一冊を手に取ることで「多方向から見る」力を高め、ビジネスで成功する可能性を広げられるでしょう。

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