8月31日(木) 海から豚がやってきた

海から豚がやってきた

1948年8月、アメリカから1隻の船が沖縄に向けて出港しました。

このジョン・オーウェン号には、ハワイへ移住しているウチナーンチュ(沖縄生まれの人)7名と、550頭の豚が乗っていました。太平洋戦争で被害を受け荒廃し、食糧難となった沖縄県民を支援するためです。

沖縄本島に到着するまでの28日間の航海は、戦時中に設置された機雷や、三度に亘って遭遇した嵐など、命懸けだったと伝えられています。

陸揚げされた豚は、沖縄県内すべての市町村に分配されました。緻密な繁殖計画のもと順調に増え続け、4年後には10万頭を越えたといいます。これを境に沖縄の食糧事情は改善され、多くの人命が救われました。

この経緯は「海から豚がやってきた」と題として記念碑に刻まれ、教科書への掲載やミュージカル化などによって、県内で広く知られています。

ウチナーンチュの人々は他者の悲しみに共感し、相互扶助の精神にのっとって行動しました。それが沖縄の復興につながったのです。

今日の心がけ◆互いに協力しましょう

                  (出典:職場の教養 2023年8月号)

◼️会社を辞めない起業家に向けて

『海から豚がやってきた』という話は、ビジネスパーソンに向けても多くの価値ある教訓を提供しています。航海は容易ではなく、多くの危険と直面しながらも、最終的には成功を収めたこのエピソードは、起業家精神の象徴であると言えるでしょう。

まず、目的が明確である重要性です。ウチナーンチュの7名と550頭の豚は、食糧難に苦しむ沖縄の人々を支援するという明確な目的の下に行動しました。目的がしっかりしていると、どれだけ厳しい状況に遭遇しても、その目標に向かって進む力が湧きます。起業を考えているビジネスパーソンにとっても、ビジョンやミッションがはっきりしているかは非常に重要です。

次に、困難を乗り越えるレジリエンス(回復力)です。28日間もの航海中に機雷や嵐といった困難に直面しながらも、決して後退することなく前進し続けた点は称賛に値します。起業においても、必ず予想外の困難や障害が立ちはだかるでしょう。しかし、それらを乗り越えて初めて、真の成功が待っています。

最後に、相互扶助の精神です。豚は沖縄県内の全市町村に分配され、多くの人々の命を救いました。一人一人が協力し合った結果、大きな成果が生まれたのです。起業家としても、ステークホルダー、パートナー、従業員との信頼と協力が必要不可欠です。

今、あなたが会社を辞めずに起業を考えているなら、このエピソードから多くを学べるはずです。会社に籍を置きながらも、目的を明確にし、困難に立ち向かい、そして人々と協力して価値を創造する。それが成功への一つの道です。時には厳しい航海が待ち受けるかもしれませんが、その航海の先に新しい世界が広がっています。だからこそ、進むべきです。船出の時は今です、勇気を持ってその一歩を踏み出しましょう。

◼️今日のおすすめの一冊

今日のおすすめの一冊は、『リーダーは最後に食べなさい!』(原題:”Leaders Eat Last”)というサイモン・シネック著の本です。この本では、リーダーシップ、チームワーク、および組織の成功について深く探求されています。特に、相互扶助と協力の重要性に焦点を当てており、『海から豚がやってきた』というエピソードにも通じる価値観が多く含まれています。

サイモン・シネックは、成功するリーダーと組織が持っている共通の要素は、「人々が互いに信頼し合い、協力し合う文化を築くこと」だと指摘します。この本は、どのようにしてそのような文化を形成するのか、具体的な例や研究に基づきながら詳しく解説しています。

ビジョンやミッションが明確であれば、困難な状況においても方向性を見失わずに前進できるでしょう。また、困難な状況でもレジリエンス(回復力)を持って立ち向かう力は、リーダーシップにおいて非常に重要です。この本を通じて、そういったスキルやマインドセットを高めることができます。

会社を辞めずに起業を考えているビジネスパーソンにとって、『リーダーは最後に食べなさい!』は文化作りから困難に立ち向かう力を身につけるためのガイドブックとなるでしょう。読んだ後には、より強い決意と具体的な行動プランを持って、自分自身の「船」を進める勇気が湧いてくるはずです。

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