5月24日(水) 変わるきっかけ

変わるきっかけ

H社長は、資本提携している子会社の経営を任されることになりました。

その子会社は、社員のモチベーションが低く、業績が長年にわたり低迷しており、社内全体でもメリハリが感じられませんでした。

初日の朝礼で全社員に挨拶を行なった直後に役員と各部署を回る際、エレベーターの中で何人かの社員と会いました。しかし、その社員たちは、H社長に挨拶をすることもなく、会話を続けていました。

意識改革の必要性を感じたH社長は、挨拶の意識づけから始めました。すぐに成果は出ませんでしたが、続けていくと、社内の雰囲気も良くなっていきました。

また、営業部と商品開発部は、対立することが多く、関係性が悪い状態が続いていました。しかし、挨拶の徹底をきっかけに関係は改善され、互いの部署が連携を強化したことで、商品を完成させることができました。

少しの意識や行動の変化が、自身の成長につながります。何かに行き詰まったら変化をつけて、状況を好転させるきっかけにしたいものです。

今日の心がけ◆成長のきっかけをつくりましょう

                                                                                (出典:職場の教養 2023年5月号)

■経営者からの感想

このエピソードは、私達がビジネスリーダーとして活動する上で重要な教訓を示しています。

H社長が直面した課題は、子会社の低いモチベーションと業績の低迷でした。これは多くの企業が直面する問題であり、改善するためには具体的なアクションが必要です。

H社長は、初日の朝礼で全社員に挨拶を行うという一見小さな行為から始めました。

挨拶は、社内のコミュニケーションを円滑にし、関係性を構築するための重要な手段です。

しかし、社員たちは当初、H社長に挨拶をすることもなく、会話を続けていました。

H社長は、意識改革の必要性を感じ、挨拶の徹底を図りました。

初めのうちは成果が見えなかったかもしれませんが、彼はそれを続けることで社内の雰囲気が徐々に良くなってきました。

ここで重要なのは、彼が単なる挨拶としてではなく、チームビルディングの一環として挨拶を位置づけたことです。

さらに、営業部と商品開発部の対立という問題もありました。

しかし、社内での挨拶の徹底が両部門の関係改善のきっかけとなり、連携が強化され、最終的に商品開発は成功しました。

挨拶というささいな行為が、部署間の対立を解消し、協力関係を築く契機となった事例です。

このエピソードから明らかなのは、小さな意識や行動の変化が大きな影響を与える可能性があるという点です。

また私達ビジネスリーダーは、自身の行動や態度が組織全体のモチベーションやパフォーマンスに影響を与えることを理解する必要があります。

例えば、組織の生産性向上に関しては、実際のデータが示すように、従業員のエンゲージメントが重要な要素です。

米国の調査会社ギャラップの最近の調査結果によれば、従業員のエンゲージメントが高い企業は、競争力が高く、収益性も向上しています。

従業員が仕事に対して情熱を持ち、組織の目標に共感し、主体的に取り組むことは、生産性やイノベーションの促進につながります。

H社長の取り組みは、このような従業員のエンゲージメントを高める一例として挙げられます。

彼の挨拶の徹底により、社内の雰囲気が良くなり、チーム間のコミュニケーションや協力関係が強化されました。

それによって、社員たちは自身の仕事に対してより一層の責任感を持ち、成果を上げることができました。

他にも、ビジネス界で同様の学びとなるケースがあります。

例えば、米国の小売企業であるザッポスは、顧客満足度を重視し、従業員の幸福感を追求する経営方針を採用しています。

彼らは独自の文化を築き上げ、従業員に自己表現や創造性を促す環境を提供しています。その結果、ザッポスは売上高を急速に伸ばし、従業員の定着率も高まっています。

これらの事例から明らかなのは、組織内の小さな変化や取り組みが、組織全体のパフォーマンスに大きな影響を与える可能性があるということです。

私達ビジネスリーダーとしては、日常的な行動や意識の変革を通じて、組織のエンゲージメントを向上させることが重要です。

ですから、あなたにもぜひ挑戦してほしいと考えます。

もし何かに行き詰まったり、組織内の課題を抱えているなら、まずは自身の行動や態度に注目し、改善を試みましょう。

例えば、挨拶の徹底やコミュニケーションの促進、チームビルディングの取り組みなど、小さな変化でも良いのです。

実際に挨拶やコミュニケーションの改善が組織にポジティブな変化をもたらした事例は数多くあります。

もしも組織内で課題を抱えている場合は、挨拶やコミュニケーションの改善から始めることもおすすめします。

それは、小さな変化が大きな結果を生むことができる可能性があるからです。

まずは一歩踏み出し、行動を起こしてみましょう。

結果を出すためには、小さな変化を積み重ねることが重要です。

手始めに、改善のための具体的なアクションプランを策定しましょう。挨拶やコミュニケーションの改善に焦点を当てる場合、以下のようなステップを考慮することができます。

  1. 意識啓発と教育: チームメンバーに対して、挨拶やコミュニケーションの重要性を明確に伝えます。定期的なトレーニングやワークショップを通じて、良好な対人関係の構築やコミュニケーションスキルの向上を支援します。
  2. リーダーシップの模範となる: ビジネスリーダーは、自身が挨拶やコミュニケーションの良い実践者であることが重要です。他のメンバーに対して、積極的な挨拶やオープンなコミュニケーションスタイルを示すことで、影響力を持つことができます。
  3. 持続的な取り組み: 意識改革や行動変革は一度では十分な効果を生みません。定期的なフィードバックやフォローアップを通じて、挨拶やコミュニケーションの改善が継続するようサポートしましょう。

今日のエピソードは、小さな変化が組織内に大きな影響を与えることが示しています。

挨拶やコミュニケーションの改善は、組織のエンゲージメントやパフォーマンスを向上させるための重要なステップです。

あなた自身がビジネスリーダーとして率先して行動し、他のメンバーを巻き込むことで、組織全体の変革を実現しましょう。

今日のエピソードに関連する以下3冊の書籍をご紹介します。

『リーダーシップ論』 – ジョン・P・コッター 著

コッター教授はリーダーシップの権威であり、本書では成功するリーダーの特徴や行動について解説しています。

ビジネスリーダーとしての思考や行動の原則を学びながら、組織を変革し成果を上げるために必要なリーダーシップについて理解を深めることができます。

挨拶やコミュニケーションの改善が組織の成果に与える影響についても示唆があり、ビジネスリーダーとしての能力向上に役立つでしょう。

『【新版】グロービスMBAリーダーシップ』グロービス経営大学院 著

この書籍は、リーダーシップの基礎概念から始まり、ビジョンの設定、戦略的思考、チームビルディング、コミュニケーションなど、さまざまな要素について詳しく解説しています。

そして、挨拶やコミュニケーションの改善に焦点を当てる際にも、この書籍から得られる知識とフレームワークが役立ちます。

組織のビジョンや戦略の明確化、チームのパフォーマンス向上、影響力の構築など、リーダーシップのさまざまな側面について学ぶことができます。

社員の力で最高のチームをつくる――〈新版〉1分間エンパワーメント  ケン・ブランチャード (著), ジョン・P・カルロス (著), アラン・ランドルフ (著)

本書では、従業員のエンパワーメントとリーダーシップの関係性に焦点を当てています。
ビジネスリーダーが従業員の能力を引き出し、自己成長と組織の発展を促す重要性について解説しています。挨拶やコミュニケーションの改善を通じて、従業員のエンゲージメントやパフォーマンスを向上させるための手法やアプローチを具体的に示しています。
リーダーシップとエンパワーメントの関連性を学びながら、ビジネスリーダーとして従業員の成長をサポートし、組織全体のパフォーマンスを向上させる方法について考えることができます。


これらの書籍は、リーダーシップの視点からビジネスの成果を最大化するための洞察やツールを提供しています。

挨拶やコミュニケーションの改善から、組織のエンゲージメントやパフォーマンスに与える影響を考える上において、これらの書籍は貴重な参考となるでしょう。