5月25日(木) 日に一度

日に一度

ピアニストのイグナツィ・ヤン・パデレフキスの言葉に「練習を一日休むと自分にわかる。二日休むと批評家にわかる。三日休むと聴衆にわかる」があります。

Nさんは書道が趣味なのですが、小筆で仮名を書くのが苦手でした。〈同じ書道を習っている周りの人たちは上手なのに〉と、書いてはあきらめ、数日後にはまた再開という状態が約20年続きました。

しかし、毎日書くことが上達の秘訣だと思い、短時間でもとにかく毎日小筆で仮名を書くことにしました。3年ほど継続し、ようやく人並みに描けるようになってきたと実感できるようになりました。

以来、Nさんは書道に限らず何か上達したいと思うことがあると、短時間でも毎日取り組むことにしました。するとそれぞれ上達していくことがわかり、1日1回が上達の鍵であることをますます実感するようになりました。

毎日行なうためには、時間と場所を決めるなど習慣化させることが肝心です。そうすれば義務感もなくなり、自然に取り組むことができるでしょう。

今日の心がけ◆短時間でも毎日取り組みましょう

                                                                                (出典:職場の教養 2023年5月号)

■経営者からの感想

「毎日の習慣的な行動」が、スキルの獲得や事業の成功にとって重要であるという事例をNさんの経験が示しています。

ありたい姿の実現性を最大限に高めるには、毎日の小さな習慣の積み重ねが大事であり、ビジネスにおいても同様の原理が適用できます。

科学的にも、チャールズ・デュヒッグの著書『習慣の力』で解説されているように、私たちの行動の大部分は習慣によって形成されていることがわかります。

これはビジネスリーダーにとっても非常に重要な事実です。

より良い成果を創出すべく、行動を変革するためには、効果的な日々の習慣を形成することが有用です。

一例として、自然言語処理(NLP)の開発を考えてみましょう。
この分野でも成果を上げるためには、日々のアルゴリズムの改善とデータセットの分析が欠かせません。

GoogleのBERTやOpenAIのチャットGPTなど、今日の最先端のNLPシステムは、数百GBのテキストデータを解析して訓練されています。

毎日のデータ分析と改善作業により、これらのシステムは人間の言語能力に迫る性能を発揮するまでに至ってきました。

私たちのビジネスにおいても、Nさんの経験が示すような「毎日少しずつ、そして継続的に」が結果を生む鍵となります。

よって、新しいスキルを獲得したい、あるいはビジネスでビジョンを実現したいと考えるのであれば、毎日一歩ずつ前進すること、チャレンジすることをお勧めします。

1日1%の成長ができれば、1年で37倍の成長が実現できます。

1日1%成長への地道な行動が、あなたの成果を創出する鍵となります。

本日のエピソードに関連する、毎日の習慣や継続性に重点を置いているビジネスと自己啓発に関する書籍を3冊ご紹介します。

1.習慣の力』 – チャールズ・デュヒッグ 著
私たちの日常の行動の大部分は習慣によって形成されているという考え方を説明し、これが個人生活、ビジネス、社会全体にどのように影響を与えているかについて掘り下げています。

2.『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』– ジェームズ・クリアー 著
この本は小さな習慣の力に焦点を当て、それがどのように私たちの生活と成功に影響を及ぼすかを示しています。更にどのようにして良好な習慣を形成し、悪い習慣を打破するかについての具体的な手法についても解説しています。

3.『Deep Work』 -カル・ニューポート 著
この本は集中力とその重要性について掘り下げ、ディープワーク(大事なことに集中する)を習慣化するための戦略とテクニックを提供しています。

これらの本は、ビジョン達成に向けての習慣形成、集中力の向上、そしてそれらを継続することの重要性についての理解を深めるのに役立ちます。