7月21日(金) 夏の昆虫

夏の昆虫

いよいよ夏本番となり、野山では多くの昆虫が活発に活動しています。子供の頃、夏休みに虫取りをした人も多いでしょう。

地球上では多種多様な生物が相互に影響し合いながら共存しています。この概念を生物多様性といい、三つのレベルで多様性が確保される必要があります。

一つ目が「生態系の多様性」です。地球上には、森、河川、干潟、海など様々な自然環境があります。それぞれの地域の各環境下では、食物連鎖などを通し、多くの生物がバランスを保ちながら独自の生態系を構築しています。

二つ目が「種の多様性」です。動植物、菌類を含めた地球上の種の数は175万種以上。その過半数は昆虫で、約100万種が存在するといわれています。

三つ目が「遺伝子の多様性」です。同種の生物でも、地域や個体によって、体の大きさや形、模様などが異なります。これは遺伝子の違いによるものです。

地球上に生存する多様な生命に目を向け、人類の生きる基盤である自然の営みに感謝を深めたいものです。

今日の心がけ◆身近な自然に目を向けましょう
(出典:職場の教養 2023年7月号)

◼️会社を辞めない起業家に向けて

このエピソードを読んで思うのは、自然の多様性とそれに潜む力が、ビジネスにおける起業の象徴であるということです。それぞれの昆虫が、その独自の生態系で役割を果たし、多様な遺伝子を持つことで適応力と革新性を保つ様子は、起業家にとって共感できる部分でしょう。

ビジネスの世界もまさに生態系の一部で、多様な企業が共存しながら新しい価値を創造しています。あなたが起業を考える際、この「生態系の多様性」を思い描くことが重要です。起業とは、新しい価値を提供する独自の生態系を築くことであり、そのためには、周囲の環境と適応しながら、自身の遺伝子(=独自のアイディアやビジョン)を確固として保つことが必要です。

また、このエピソードの「種の多様性」からも学ぶことがあります。競争相手や他の業界の企業も、様々な種類の昆虫のように多様です。その多様性を理解し、相手の違いを尊重しながら共存していくことで、自社の競争力を高めることができます。

さらに、「遺伝子の多様性」は、同じビジネスでも各社の違い、企業の個性を意味します。あなたがビジネスの世界で自分自身を遺伝子と見なすなら、その遺伝子の違いが他との競争において独自性と強さを生み出すことを思い出してください。

私たちは自然から多くのことを学ぶことができます。それらをビジネスに適用し、多様性と独自性を尊重しながらありたい姿を実現するのが起業家の役割です。

だからこそ、あなたがこれから企む起業が、身近な自然に目を向けることで、世界と共存しながら革新を生む存在となることを期待します。恐怖を捨て、起業の冒険に一歩踏み出しましょう。あなたのビジネスが、この地球上の新たな生態系となり、多様性を高める一部となることを願っています。

◼️今日のおすすめの一冊

この感想文を踏まえると、「The Lean Startup: How Today’s Entrepreneurs Use Continuous Innovation to Create Radically Successful Businesses」(邦題:「リーン・スタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす」)をおすすめします。エリック・リース著のこの書籍は、起業家やイノベーターに向けた一冊で、新しいアイデアを効率的にビジネスへと実装するための方法を提案しています。

特に、リーンスタートアップの手法は、「最小限の労力で最大限の学びを得る」という考え方を強調します。つまり、まず最小限の製品(MVP: Minimum Viable Product)を開発し、それを市場に投入。その結果をフィードバックとして捉え、製品を逐次改善していくというプロセスです。この手法は、自然界の生物が環境に適応する過程と共通点があります。

「夏の昆虫」のエピソードと「リーン・スタートアップ」の考え方を結びつけると、多様な生命が環境に適応しながら生き抜く自然界の姿を、ビジネスの世界に活かす方法として理解できます。一歩一歩、小さな実験と改善を重ねることで、企業が成功へと進化していく過程を、この書籍を通じて学ぶことができます。

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