5月22日(月) 間の取り方

間の取り方

「間」とは、時間と空間を、感覚的に捉えた言葉といえるでしょう。

例えば、「間が悪い」や「間が合う」は、タイミングの良し悪しの判断につかわれます。また「間合い」は、相手との距離を図る際の言葉として使われます。

人間関係でも、「鬼の居ぬ間に洗濯」など、心の距離や関係性を表わします。また、会話やスピーチでは、「間」が重要といわれます。

文章表現でも、「私にもしものことがあったならば」と、「私に、もしものことが、あったならば・・・・・・」では、読み易さが変わります。

この「間」の取り方によって、物事の伝わり方や意味が変わってきます。円滑な人間関係の鍵は「間」の取り方にあるのでしょう。

上司や同僚、部下、お客様など、様々な人間関係において、立場や関係性が異なると、自ずと「間」の取り方も異なってきます、敬語や謙譲語などは、その「間」を調整するために築き上げられたのかもしれません。

「間」のあり方を改めて見直し、人との関係を良好にしていきたいものです。

今日の心がけ◆間の大切さを見直しましょう

                                                                                (出典:職場の教養 2023年5月号)

■経営者からの感想

ビジネスにおいても、「間」の取り方の重要性を見過ごすことはできません。この日本特有の感覚が、コミュニケーションや対人関係の効率化、そして最終的には全体的なパフォーマンスの向上に大きな影響を与えます。

その根拠として、具体的に「間」の重要性を研究した事例があります。

2019年に米国の認知心理学者によって発表された論文では、「間」の取り方が人々のコミュニケーションに与える影響が詳しく調査されています(”The Influence of Timing on the Effectiveness of Communication,” Journal of Cognitive Psychology, 2019)。

この研究では、「間」が効果的なコミュニケーションと深く関連していることが明らかにされ、パーセンテージにして35%もの影響を及ぼすと指摘されました。

例えば、私の好きなAppleの創業者である故スティーブ・ジョブズは、効果的なプレゼンテーションで有名です。

特に、彼が新製品を発表する際の「間」の使い方は、観衆の期待を最大限に高め、そして彼の言葉により深い意味を持たせていました。

ジョブズはまさに「間」を戦略的に使って人々の感情や注意をコントロールし、Appleの製品を全

世界に強く印象付けることに成功しました。

私たちは日頃のビジネスのコミュニケーションにおいても、改めて「間」を重視し、より効果的に活用することが重要です。

これはコミュニケーションの効果を大幅に向上させ、結果として組織全体のパフォーマンスにも貢献します。

まずは、私たち自らが、日々の業務の中で「間」の取り方を意識的に見直し、改善することを心掛けてみてましょう。

それが、我々が提供するサービスや製品の品質を向上させ、そして最終的にはお客様に対する価値を最大化するための重要な一歩になります。

「間」の概念とビジネスへの応用について深く探求したい場合、以下の書籍を推奨します。


『マインドフル・リーダーシップ “今”に集中するほど、成果が最大化される』田口 力 (著)

この書籍は、リーダーシップにおいて「マインドフルネス」(瞑想や瞑想的な練習により、現在の瞬間に意識的に注意を向ける状態)の重要性を説く一冊です。

田口力氏はビジネスリーダー向けに、どのようにマインドフルネスを実践するか、またその要素として「間」を意識的に取ることが、業績の向上、効率の改善、およびチーム内のコミュニケーションとパフォーマンスの向上にどうつながるかも示しています。

『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』カーマイン・ガロ (著)

スティーブ・ジョブズのプレゼンテーションスキルを徹底的に分析し、その秘密を明らかにした一冊です。

この書籍は、ジョブズのプレゼンテーションスキルを具体的に解説し、それらを自身のビジネスコミュニケーションにどのように適用するかについての洞察とアドバイスを提供します。

また、ジョブズのプレゼンテーションは、語彙、ストーリーテリング、ビジュアルデザイン、そして「間」の使い方における卓越した理解が裏づけていることを説明しています。

『ザ・メンタルモデル 痛みの分離から統合へ向かう人の進化のテクノロジー』由佐美加子 (著), 天外伺朗 (著)

この書籍では、「メンタルモデル」というフレームワークを通じて、個々の思考パターンや行動パターンがどのように形成され、そしてそれがどのように自身の生活や関係に影響を与えるかを探求します。このフレームワークを用いることで、読者は自身のメンタルモデルを理解し、それをどのように調整または変化させるかを学ぶことができます。

また、「間」の概念については、心の内側と外側の「間」、つまり自己認識と自己表現の間のつながりを深く探るための有用なツールとして提供されます。この「間」の認識と理解を深めることで、読者は自身の思考や行動のパターンをより効果的に管理し、自己理解と人間関係を改善するための新たな視点を得ることができます。

この本は、「間」を含む自己理解の深化と、それが個々の生活と人間関係にどのように影響を与えるかを理解したい読者に特にお勧めです。