6月1日(木) 衣替え

衣替え

中国の風習である「衣替え」を日本が取り入れたのは平安時代のことです。貴族だけが年2回、夏と冬の装束を入れ替えていました。

江戸時代になると、幕府が武士の衣替えを制度化しました。しかし、庶民は手持ちの着物が限られているので冬の間は綿入りの着物を着て、春になると綿を抜いて春用に仕立て直しました。

伝統的な着物の文化では、季節に応じて「着分け」という衣替えをします。その季節に相応しい(ふさわしい)色や柄を選ぶ際は、実際の季節より一足早い柄を選びます。桜が満開のときに桜柄の着物を着るのは野暮だということです。

現代では、学生の制服が冬服から夏服に替わるとき、オフィスで「クールビズ」の取り組むときなどが衣替えを実感できるときかもしれません。

クールビズは、地球温暖化対策の一環として始まりましたが、持続可能な社会の実現のためにも、衣類を定期的に手入れをすることで、長く使えるという衣替えの文化を大切にしたいものです。

今日の心がけ◆衣服を大事に使いましょう

(出典:職場の教養 2023年6月号)

■経営者からの感想

衣替えの伝統は、衣類の効率的な管理と環境負荷低減の視点から見て、経済的かつ持続可能な行動を促進するものと言えます。
そして、その歴史と文化に学ぶことは私たちビジネスリーダーにとっても大いに価値があります。

衣替えの歴史は深く、その起源は中国の風習で、平安時代の日本においては貴族だけが、江戸時代には幕府が武士の衣替えを制度化し、現代では学生やオフィスワーカーが季節ごとに衣替えを行うまでに至りました。
これは、繊細な審美性と環境への適応能力を組み合わせた、独自の文化的進化を示しています。


また、現代社会における衣替えで考えた場合、「ファストファッション」と「持続可能なファッション」の二つのアプローチがあります。

ファストファッションは、低価格で大量に速く生産される商品を消費者が頻繁に購入し、短期間で手放していくファッションのあり方です。

一方で、持続可能なファッションは、衣類の寿命を延ばし、定期的なメンテナンスと質の高い素材を活用することを強調します。

定量的な視点から見ると、ファストファッション業界は年間で約2兆ドルの市場規模を持つ一方で、エコロジカル・フットプリント(人間生活がどれほど自然環境に依存しているのかの指標)は驚くべきものです。(この業界で全体の炭素排出量の10%、全体の水使用量の20%を消費。)

一方で、衣類のメンテナンスと適切なリサイクルにより、一般的に衣類の寿命は最大で50%延ばすことができ、これは結果として節約されるエネルギーとリソースにつながります。

結論として、持続可能なファッションを追求し、衣替えの古い伝統を尊重することは、経済的、環境的など多方面で利益をもたらします。

以上のことを鑑みて、衣替えの考え方は、我々が新しいビジネスモデルや環境負荷の低減策を探求する上で、一つの有力な指針となり得ることでしょう。

私たち現代のビジネスリーダーは、消費者の選択と企業の経済性をバランスさせ、持続可能な社会を築くことを目指す必要があります。

もちろん、これはただのファッションの問題ではありません。
これは地球の未来、私たちの未来についての問題です。

衣替えの歴史から学び、衣類のメンテナンスと適切な消費を通じても持続可能な未来に寄与できます。


今日の感想文を踏まえて以下の書籍をご紹介します。

「逆境の資本主義 格差、気候変動、そしてコロナ……」
現代の複雑な課題に直面する資本主義経済体制を深く探求した一冊です。
この本は、経済格差、気候変動、そして新型コロナウイルスのパンデミックといった逆境と戦うための新しい視点と戦略を示しています。


この感想文と関連して、この本は衣替えの考え方や持続可能なファッションを通じて、資本主義がこれらの複雑な課題にどのように対応するかを理解するのに役立ちます。

また、この本は新型コロナウイルスのパンデミックが経済と環境に与えた影響についての洞察を提供します。
パンデミックは消費パターンを変え、企業のビジネスモデルを再考させる機会を提供しました。

これらの視点を通じて、「逆境の資本主義」は、衣替えの歴史や文化を現代の経済と環境課題に適用するための広い視野を提供します。

これはビジネスリーダーが、新しいビジネスモデルや環境負荷の低減策を探求する上で、一つの有力な参考書となり得るでしょう。