5月31日(水) 心の輪

心の輪

人の心を見ることはできませんが、人の行為を見ることはできるはずです。

例えば、電車で席を譲る人、手袋の片方を落としたことに気づかず立ち去る人に、拾って追いかけていく人を見かけた時などが挙げられます。

高校教師を経て詩人、作詞家として活躍した宮澤章二氏。作詞した小中学校の校歌は300校以上を数えます。2010年にACジャパンが作品集『行為の意味 青春前期のきみたちに』から紹介した詩を記憶している人も多いでしょう。

「『こころ』はだれにも見えないけれど『こころづかい』はみえる

『思い』は見えないけれど『思いやり』はだれにでも見える」

この宮澤氏の詩の抜粋からは、〈人が持っている優しい気持ちが、たくさんのあたたかい行為となって世の中に生まれてほしい〉という願いが込められています。

先人は「情けは人の為ならず」と言い表わし、思いやりは伝播する特性を持っていることを教えています。職場、家庭において、他人を思いやる親切心を育み、そうした心の輪を社会にも広げていきたいものです。

今日の心がけ◆思いやりを実行しましょう

                                                                                (出典:職場の教養 2023年5月号)

■経営者からの感想

「心の輪」のコンセプトは、ビジネスリーダーにとっても極めて重要です。

思いやりや配慮といった行動は、個人だけでなく、組織全体のエンゲージメント、生産性、そして成功に対して直接的な影響を与えます。

グローバル調査企業Gallupの2022年の報告書によると、高いエンゲージメントを持つ組織は、利益率が21%高く、生産性が17%高く、顧客満足度が10%高いことが明らかになっています。

これは、組織内部のコミュニケーションや相互理解、信頼、そして思いやりが組織のパフォーマンスに対して重要な役割を果たしていることを示しています。

 また、Googleの有名なプロジェクト「アリストテレス」は、パフォーマンスの高いチームが共有する特性を調査するために行った結果、最も重要だった要素は「心理的安全性」でした。

つまり、チームメンバーが自分の意見を自由に表現し、リスクを取ることを恐れない環境が作られているかどうかです。

これは、思いやりと共感が根底にある文化を反映しています。

 私たちは、思いやりや共感がビジネスの成果に深く関与していることを認識しなければなりません。

そして、その行動を組織全体で取ることで、「心の輪」を広げ、成功へと導くことが可能になります。

ビジネスリーダーとして、私たちの行動がチーム、組織、そして社会全体に影響を及ぼすことを常に心に留め、この「心の輪」を広げる行動を奨励しましょう。

本日のエピソードを踏まえて、以下おすすめの書籍を紹介いたします。

EQ~こころの知能指数

この本では、Golemanが「感情の知性」またはEQを詳細に説明し、IQ以上に重要である理由を示しています。

そして、共感や思いやり、自己認識、そして他人への理解など、EQの各要素がどのようにして個人の成功や組織の成果に寄与するのかを明らかにしています。

思いやりと共感がビジネスの成功にどのように影響を及ぼすかを理解する上で、非常に有益ですので、ぜひ読んでみてください。